2012年8月7日火曜日

Kobo Touchにはオープンソースが似合う

前のエントリに追記を書いていて、別エントリにすべきと思ったのであらためて。

まず、日本語EPUB対応はNetFront BookReader v1.0 EPUB Editionであるということ。これに関しては、下川さんのEPUBに寄せる強い思いもあるだろうし、出版社の要望に沿うためにも日本特有のきめこまやかな(というか、芸術的職人芸に基づく)組版を実現させる必要があって、代わるものがなかったということなのだろうと思う。むしろ、WebKitの現状を考えるに、それを調整する、つまりオープンソースコミュニティに関わっていく時間が、ビジネスの側面から考えると待てなかった側面はやむを得ないのだろう。SONY ReaderはAdobe Reader Mobileを採用しているということなので、競争上、プロプライエタリで、これを超えるものがあるなら搭載することは当然のことなのだろうと思う。

また、様々な使い勝手について、日本の消費者は完璧なものを望むので、もとのKobo Touchに対してソフトウェア的に対応できるものは何でもやっていかなければ今回以上に炎上したであろうことは想像できないことはない。

特に、画面上の操作が赤外線センサであることについて販売員が知らず、スリープ状態ですぐ電池がなくなることに疑問を持ったまま店頭に立っているというのは(いや、きょう某店頭で偶然販売員と会話して知っただけで、全国的にどうなのかは知らない)どうなのかと思ったりした。Appleやソニーのように直売店があるわけではないので、商品のなかみに詳しい必要はないのだろうが、これだけ炎上した以上、苦情の分析に専任を当てて得意のスピード経営で販売員への対応マニュアルを随時更新するとか楽天はしたほうがいいんじゃないかと懸念してみたり。ちなみに、「電源オフ」にすれば赤外線センサを見なくなるのでかばんに入れても電池は減りませんが、スリープ状態では画面上に障害物があるとLEDが点灯するのでぐんぐん電池が減ります。って書いてみたら、デフォルト設定が悪いんじゃないかという気がしてきたぞ。

デスクトップアプリにしても、おそらく出版社の要望にきめ細かく応えた日本語EPUB3の美しい組版を実現するには現状のWebKitはまだ実装が及ばないところがあるので、しばらくは出ないだろうし、出てもおそらくNetFrontのコードを持ち込むことになるだろうから、プロプライエタリなコードがまた増えることになるんだと思う。

そう考えると、Kindle日本語版の「出る出る詐欺」も、組版エンジンの実装とMOBIなりAZWなりのフォーマット改訂に手間がかかっているせいではないかという気がしてきた。その意味では、楽天は率先して前線に出て十字砲火を受けたわけで、あっぱれというほかないと思う。内部筋の情報では三木谷はかなりへこんでいるらしいが、お前が出ずに誰がこんな危険なギャンブル、もとい偉大なる勇み足ができるか、よく考えて、もっとましな開き直り会見したほうがいいのではないか。まぁ、ほとぼりが冷めた頃にAmazonが楽天の失敗の上に満を持して登場とかありうるわけだけれどもそこはそれ、先行者利益ということで(ほんまかいな)。

しかし、そうして重厚な品質の上に成り立つのはAppleしかり、大事なところはほとんど外から触れない製品にならざるを得ないわけで、もともとあったKoboのカジュアルなところとは対局になってしまうことを懸念せざるを得ない。例えばKobo書店サイトについて苦情を言う日本人は、従来のサイトを知らないから言えるのであって、あんなに買いにくいサイトはなかった。安いのは若者向けの恋愛小説とかホラーとかの軽いやつばかりで、欲しい本は検索に偶然引っかかっても他の書店のほうが安かったりと、売る気があるのかどうか、あんまり考えてなさそうなところが逆に好感を持ってしまったりするような作りだったのだが。

やはりここは、すでに出ているソースコードをもとに、オープンソースコミュニティのファームウェアをがんばらざるを得ないのではないか。すでに基本はできているので、nickelに相当する部分はWebKitの最新版にしっかり追随する形、もしQtの更新が遅ければOpenFrameworkに置き換えていくぐらいの勢いがあってもいいのではと思った。若者がんばれ。おじさんはもうだめだから。